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昨夜”波紋と螺旋とフィボナッチ”(近藤滋著)を読了。

7章の細胞性粘菌についての解説も面白かった。

(かつて他の本で細胞性粘菌については読んだことがあるが、

この本の方が分かりやすかった)

細胞性粘菌はいわゆるアメーバの単細胞生物で、

普段は独立してバラバラに動きまわっているのだが、

飢餓状態になると、

何万という細胞が1か所に集まって細胞の塊になり、

ナメクジに似た多細胞生物のような移動体になる。

制御系がないのに、

どうして集合体としての統率されたような動きができるのか?

ここに関わっているのがまたもや波、らせん波である。

(じつはこれが私が設計した”CASA ESPIRAL”のヒントになっている。

複数の同じ大きさの壁がらせん状に集合してできた建物が”CASA ESPIRAL”

 

波が生じる源は簡単な3ステップのアルゴリズム。

サッカー観覧席のウェーブに例えると分かりやすい。

1)周囲が座っているときは座っている。

2)隣が立ったら、自分も立つ。

3)数秒立ったら座り、しばらくその状態を維持する。

観客がやるべきはこの3ステップだけ。

かつて複雑系の科学の本を読んでいるときに、

よく出てきたBOID(”Bird-oid”鳥もどき、の略)のシミュレーションに似ている。

これも基本的には

1)衝突回避

2)整列

3)接近

の3つのルールのみ。

これだけで鳥の群れのような動きをシミュレーションできる。

 

この本を読んで改めて思うのは、

ものの形には”動き”や”力”といったものが潜んでいる、

逆に言えば、

”動き”や”力”といったものが、ものの形を構成している、

ということ。

建物を設計する際にも形そのものをデザインするのではなく、

そこに働いている”力”や”動き”からデザインをする、

そしてその結果としての形・・・

 

ということで次は、

”かたち”、”流れ”、”枝分かれ” の3部作(フィリップ・ボール著)

を読むことにしました。