砂漠に咲く花

この写真はアラビア半島のルブアルハリ沙漠を上空から見たもの。
“ルブアルハリ”という言葉には「空白の地域」という意味があるらしいが、
その「空白の地域」に無数の緑色をした円形のものが点在している。

これは「円形農場」と呼ばれているもので、主に小麦などを生育しているらしい。
降水量の少ないはずの、こんな沙漠の中になぜ?とも思うが、
ここの灌漑には地下水を利用している。
その地下水とは、この沙漠がまだ緑豊かであった1万年以上も前の雨水が
地層の中に閉じ込められたもので、「化石水」とも呼ばれているもの。

その「化石水」を出来る限り有効利用するための工夫の結果、
農場はきれいな円形を描くことになった。
従来のスプリンクラーでは広く空気中に水を散布するため、
蒸発による水の無駄な消費を抑えられない。
よってここでは、ピポット灌漑式という灌漑方式が採用されており、
円の中心で地下水を汲み上げ、そこを軸に長いパイプをゆっくり回転させることで、
作物に水を供給している。
上の写真で時計の針のように見えるのが、そのパイプである。
(長いものでパイプは500m程ある。つまり大きいもので円形農場の直径は
1km程もある。)

ただ、この「化石水」は現在ではほとんど補給されることがないので、
今のペースで水を使い続ければ、2040年には枯渇してしまうとも言われている。
そのことを思うとこれらの「円形農場」は、
残された時間を自ら刻む、時計のようにも見えてしまう。