“王子の家”実施設計

今日、
”王子の家”の実施設計が完了。
明日工務店さんに見積りをお願いする運び。

”王子の家”は、
幅が4mに満たない私道の突き当たりにある、
東京の住宅密集地に建つ小さな住宅。
私道の延長のような吹き抜け空間を持つヴォリュームと、
生活空間である小さな部屋が詰まったヴォリュームが、
ズレながら並列する構成となっている。

動線となる階段は吹き抜けの空間にまとめ、
部屋から部屋へ移動する際は必ず、
私道へと視線が抜けるこの吹き抜け空間を通過するようにプラニングしている。
それに対して各部屋からは、
この吹き抜け空間を介して、
隣家間の隙間空間へと視線が抜ける。

私道が周囲の家並みの表の姿とすれば、
洗濯物や露出の配管などが並ぶこの隙間空間は、
住宅地の無頓着な後ろ姿といえる。

2つの異なる性質の空間、
そこから見える、
2つの異なる住宅地の姿。
それらが、
家の中で仕事することが多いクライアントにとって、
周囲の住宅地と接点を保ちつつ、
日常生活と仕事との精神的な切り替えのきっかけにもなればと考えている。