• 百合ヶ丘の家

    所在地
    神奈川県川崎市
    敷地面積
    86.04m2
    延床面積
    129.66m2
    構造
    木造
    規模
    地上3階
    構造設計
    MUSA研究所
    建築施工
    本間建設
    竣工年
    2008年
     
     
    掲載
    「住まいの設計」 2008年12月号
     
    「MY HOME 100選 vol.8」 2011年
    放映
    「渡辺篤史の建もの探訪」 2009年2月8日
  • 敷地周囲の高低差のある地形をそのまま建物内部に引き込んだスキップフロア形式の平面とし、前面道路の傾斜と平行に傾けた屋根をのせる。こうすることで、それぞれがレベルや天井高さ、形状、そして性質の異なる、様々な個性を持つ”場所”が生まれた。このようにして出来たスキップフロアの段差が、料理する、食べる、座る、歯を磨く、顔を洗う、フロに入る、勉強や仕事をするなどといった生活行為を誘発するように、生活に最低限必要なもの、つまり、トイレやバスタブや洗面器などの衛生機器、キッチン、ダイニングテーブル、そして本棚などの収納を配置していった。さらに回遊性を持たせることで、行き止りのない、物理的なもの以上に広さが感じられるようにした。
    結果、水周り以外は特に使われ方が余り限定されていないような”場所”となった。
    子供は3階で勉強してもいいし、西日が強くなってきたら2階のカウンターに移ってもいい。冬は3階で、夏は1階で寝てもいい。その時々に家の中を歩き廻って適した場所に移っていく、そんな住宅になればと考えた。

    構造的には、在来工法の木造3階建てではあるが、2階リビングとバルコニーを全面開口にすることで外部との繋がりを強くしたいと考え、2階梁間方向の3本のフレームにのみ、L字型の溝型鋼をボルトで抱き合わせるようにすることで、ラーメンフレームとした。これは骨折した時に、固定のため腕等に巻く包帯や石膏(ギブス)のようなもので、構造設計家から頂いたアイデアである。これによって、2階は梁間方向には構造壁が一つもない、木造らしからぬ空間になっている。

    南側からの採光は困難な敷地条件の為、北東側にバルコニーを設けそれを白い壁で囲むことで、周囲からのプライバシーを確保しつつ、その壁からの反射光を建物の内部に取り込めるように配慮されている。壁の一部に開けられたランダムな穴から吹く風が、イロハモミジの葉を揺らす。
    ファサードは丘地である敷地周辺に多くある擁壁をモチーフにしている。天気や陽の当たり方によって、そのファサードは表情を変えていく。