”設計の考え方”について

久々に私の事務所のHPアクセスデータを見た。
”空隙の家”のページへのアクセスが多いのは雑誌やTVのおかげであろう。
それ以外の住宅ごとのプロジェクトページのほかに、
”家づくり”のドロップダウンメニュー内のページ、
特に、
・建築家思考の住宅コンセプト
・建築家思考の狭小住宅
の2つがよく閲覧されているようだ。
どれも何度も下へスクロールしないと読めない長いページなのに、
とてもありがたいことである。
おそらくは、
設計者としての考え方、
について詳しく説明をしているHPは、
他にあまりないからではないかと思われる。

ただ、
私のような設計事務所に設計を依頼する場合、
最終的にいったいどんな建物になるのだろうかと、
不安に思われる方が多いのではと思い、
これらのページを作った。
設計を依頼された時点では、
設計者自身も最終的にどんな建物になるのかは分からない。
けどせめて、
私はこんなことを考えながら設計をしている、
ということを少しでもお伝えできたらと思っている。

建物の形態はもちろん大事ではあるけれど、
それは結果的なものでしかなく、
いちばん重要なのはその内容の方で、
それはつまり、
設計の考え方のはずだと思う。
つまり建物の形態は内容の表現であってほしい、
そう私は思っている。
設計者は設計した建物の写真だけではなく、
もっと言葉でも伝える方が良いように思う。

ただ建築雑誌などで見ると、
建物の写真はいちばん目立つものであるから、
その形態ばかりに目がいきやすいから注意が必要だと思う。
建物は見るためだけのものではなくて生活の場であるからだ。

設計者によって、
設計の考え方・価値観はさまざまである。
たとえばモダン和風などといったスタイルにこだわる方、
何よりも建物の形態を最重要視している方もいる。
素材や細部のディテールを重要視している方もいる。
近年よく言われている温熱環境性能を最重要視している方もいる。

もちろんお施主さんのご要望を最重要視するの当たり前のことだが、
私の場合は、
住宅で言うと、
(そのお施主さん)家族にとって生活する空間はどうあるべきなのか、
そしてその住宅と周辺環境との関係はどうあるべきか、
を重要視している。

住宅はその個人または家族のためのものである。
同時にまた、
その個人または家族は社会の一員でもある。
そんな考え方から、
私は以上の2つを重要視している。