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”RED ヒトラーのデザイン”(松田行正著)を読み終える。

序 ヒトラーのデザイン、第一章ファッション、第二章デザイン、

あたりが面白かった。

後半は断片の羅列のようでまとまりに欠けているような気がした。

ヒトラーの死後に作られた映画が多く扱われており、

ヒトラーのデザイン的なものが、

今も大きな影響を与えているということを伝えようとしたのだろうけど、

個人的には、

当時のポスターや映像などの一次資料的なものをもっと中心に扱って欲しかった。

当時も今も映画にはプロパガンダ的要素が多くあることを考えると、

ヒトラー(ナチス)を扱った後年の映画、を扱うことは、

プロパガンダのプロパガンダを扱っているということにもなり、

ちょっと信頼性に欠けてしまうような気がする。

 

著者が言うように、

確かにヒトラーほど政治を美学化した政治家はいないのかもしれない。

赤字に白い円を抜き、その中に45度斜めに置かれた黒のカギ十字、

”ロボットのような機械的な行進と敬礼や、そこから生まれる果てしなく続く直線、その直線に交差する敬礼による斜め線、建築の列柱がもたらすストライプ、”

カギ十字などのアイコンの大量流布、

赤い旗やバナーの乱舞、

スマートに見せる細身の制服(ヒューゴ・ボスも製造にかかわっていたらしい)。

ヒトラーはデザインを歴史から、ムッソリーニから、カトリックから多くを引用した。

そして迷彩服や聖火リレーなどのオリジナルも生み出した。

カトリックのスタイルを真似てアレンジすることで、

党大会はスペクタクル・ショーと化した。

(上の写真は対空サーチライトによる光のストライプ模様。

徐々に上空の一点に収束させる。”光のカテドラル(大聖堂)”と呼ばれた。

ヒトラーお抱えの建築家シュペーアの発案。)

そこから生まれる宗教的高揚感、神秘性、官能性。

この辺りは、

レニ・リーフェンシュタール監督のドキュメンタリー映像、

『意志の勝利』を観るとよくわかる・・・

(検索するとニコニコ動画でも観れるようです)

よくわかる・・・というのが怖いところでもある。

上のような三本の国旗を背に、

ヒトラーを中心とした三人が歩いてくるシーンは特に美しいと思ってしまう。

ナチスのプロパガンダへ の関わりを追及された監督は、

「興味があったのは美だけ」と発言している。

この映像は現在ドイツでは一般上映は禁止されている、という情報もある。(wikipedia)

この美しい映像に罪はあるのか?

エリック・ホッファーの言葉を思い出す。

「プロパガンダが人をだますことはない。人が自分をだますのを助けるだけである」

 

ヒトラーが行った負のデザインの最たるものは優生思想だろう。

この辺りは他の本をもっと漁ってみよう・・・