ここ数年、
カオス理論や複雑(適応)系理論などに関する本を読み漁ってきたが、
この本
『新しい自然学ー非線形科学の可能性』(蔵本由紀著)
を読んであらためて、
それらの理論の存在意味を自分なりに再認識できた。
要素還元主義的な科学はモノ的同一性に還元してみようとする科学であり、
カオスや複雑系理論は関係性・つながり方から見ようとする科学だといえる。
ニュートンに始まる近代科学革命期以来、
あまりにも要素還元主義的な科学ばかりであったことが、
現代における科学的な知のあり方がいびつになってしまった原因では?
というのが著者の問いである。
要素還元主義的な科学を縦軸だとすれば、
カオス理論や複雑系理論はそこに横軸を加える理論とも言えるのだろう。
その縦軸と横軸とによって、
新たな解像度でもって浮かび上がってくるのが、
新しい自然像ということなのかも知れない。