ディズニーランドという聖地

『 ディズニーランドという聖地 』(能登路雅子著)を再読する。

ディズニーランドを通じて、
アメリカ的な精神、思想、政治、経済などが見えてくる本。
ウォルト・ディズニーが対象にした「子供性」「スター性」「変身願望」、
日常生活からの完全な遮断、
お伽噺や古き良きアメリカといった「ノスタルジア」の演出、
そしてそのために最大限利用された先端テクノロジー、
「本物そっくり」を越えた「本物以上の本物らしさ」を追求する超リアリズム、
汚れ、老醜、そして死という生物学的法則を完全否定した超自然の人工世界、
徹底的な「衛生思想」や「管理社会」、
それゆえとしての、
種々雑多なアメリカ人を統合する場として効果的な文化装置としてのディズニーランド。

良くも悪くもディズニーランドには、
精神的、思想的、政治的、経済的な象徴性が付きまとっている。
パリでのディズニーランド建設計画が持ち上がった際、
「文化のチェルノブイリ」と警戒する声も聞かれたらしい。
しかし、
こういったディズニーランド的な非日常性は次第に虚構世界ではなくなり、
すでに私たちの住む日常空間にも浸透している。