


敷地周囲の高低差のある地形をそのまま建物内部に引き込んだスキップフロア形式の平面とし、前面道路の傾斜と平行に傾けた屋根をのせる。こうすることで、それぞれがレベルや天井高さ、形状、そして性質の異なる、様々な個性をもつ”場所”が生まれた。
このようにして出来た”新しい地形” 、そのスキップ状のフロアが邪魔になることなく、その床の段差が料理する、食べる、座る、歯を磨く、顔を洗う、フロに入る、勉強や仕事をするなどといった生活行為を誘発するように、生活に最低限必要なもの、つまり、トイレやバスタブや洗面器などの衛生機器、キッチンユニット、ダイニングテーブル、そして本棚などの収納を配置していった。さらに回遊性を持たせることで、行き止まりのない、物理的なもの以上に広さが感じられるようにした。
結果、水廻り以外は特に使われ方が余り規定されていないような”場所”が残った。
子供は三階で勉強してもいいし、西陽が強くなってきたら二階のカウンターに移ってもいい。冬は三階で、夏は一階で寝てもいい。その時々に家の中を歩き廻って適した居場所に移っていく、そんな住宅になればと考えた。
南側からの採光は困難な敷地条件のため、北東側にバルコニーを設けそれを白い壁で囲むことで、団地側からのプライバシーを確保しつつ、その壁からの反射光を建物の内部に取り込めるように配慮されている。壁の一部に開けられたランダムな穴から吹く風が、イロハモミジの葉を揺らす。
ファサードは敷地周辺に多くある擁壁をモチーフにしている。陽の当たり方や時間によって、そのファサードは表情を変えていく。

+○ ARCHITECT