かつて私が勤めていたアーツ&クラフツ建築研究所の杉浦伝宗さんに、
「空隙の家」が掲載された住宅特集11月号を送って観ていただいた。
杉浦さんから感想のメッセージを頂き、
非常に良い、と言ってもらえたのが嬉しかった。
アーツ&クラフツ建築研究所は、
狭小住宅”ちっちゃな家”シリーズで有名な設計事務所。
小さな建物でも、
設計においていろいろな可能性があるということは、
私が杉浦さんから学んだこと。
小さい建物であるがゆえにいっそう設計が難しいということも、
杉浦さんのもとで学んだこと。
建築家・吉村順三さんは「建築は詩」という本で、
”住宅は設計の基本”だと述べている。
”住宅が出来なければでかい建築も出来ないという気がします”
とも述べている。
建築の中でも住宅は最も、
人の生活全体そのものに密接に関わる建物だからであろう。
狭小住宅は尚更だとも思う。
住宅に限らず建築は、
見た目のデザインも大事だけど、
大きな構成自体こそが最も重要だと思う。
敷地周囲との関係、部屋と部屋との関係などは、
建て主の価値観、
その建物で過ごす人の心理・人間関係・生活そのものに、
大きな影響を与えるからだ。
そういった目に見えないものを、
建築というかたちのあるものとしてあらわすのが、
建築設計ならではの難しさであり、
面白さでもあると思う。