日経アーキテクチュアを見て下さった方から、
”空隙の家”の鉄骨階段について、
複数のお問い合わせを頂いた。
この階段の設計には特に注力したので嬉しい。
はじめて見て下さった方には、
この階段の透け透け具合が印象的なのかもしれない。
この階段の踏板部分はエキスパンドメタルXS-33というもので、
鉄板に千鳥状に切れ目を入れて引き延ばしてつくられている。
下の写真の様にひし形状の網目の板である。
網目の大きさや元の鉄板の厚みによっていろいろな種類があり、
使い方によっては便利な金網である。
”上丸子の家”の階段には、
”空隙の家”よりも網目が大きいエキスパンドメタルを使っている。
”中目黒の家”の門扉には、
”空隙の家”と同じエキスパンドメタルXS-33を二重にして、
かつ白く塗装することで、
道路側からの視線を緩やかに遮りつつ、
風通しの良いものにしている。
”CASA ESIRAL”の1Fお店の入り口ドアには、
さらに大きい網目のエキスパンドメタルに、
切り抜き加工を施した。
”空隙の家”では、
吹き抜け上部のトップライトからの光を1階まで届くようにするため、
そして、
1階から3階そしてトップライト越しの空まで視線が抜けるようにするため、
このような階段にしている。
稲妻状のササラは厚さ16mmの鉄板をレーザーカットしたもの。
その他はL型のアングルや角パイプ、丸鋼など、
一般に大量生産されている部材を組み合わせで、
この階段は出来ている。
部材の寸法は、
構造設計の方と相談しながら、
出来るだけ繊細に見えるように慎重に設計している。
”空隙の家”の吹抜け部分の透け透け鉄骨階段と、
鉄筋コンクリート躯体との軽重のコントラストは、
ほぼ躯体のままであるこの建物の、
空間構成テーマとも重なり合っている。
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