直線が語るもの

常日頃、いつか旅行に行きたいと企んでいる。
ただ過去の経験からか1,2週間の旅行では満足出来そうにないので、
少なくても月単位の期間で行こうと考えている。
ただそうなると現実的にはなかなか難しい。

よってせめてもの慰めとして、
時々世界地図を眺めながら、
今度はアフリカ大陸を縦断しよう、などと考える。
時間もお金もかからない、空想上の旅行。

ただアフリカ大陸の地図を見ると何かがおかしいと感じる。
何かが不自然なのである。
その何かとは国境であるらしい。
やけに定規で引かれたような直線が多いのである。

今度は北アメリカを見てみる。
これは国境ではなく州の領域を区分けする線なのだが、
そのほとんどが直線なのである。
まるで国全体に方眼紙を重ねてラインを引いたかのようである。

数学者の教えによれば、
直線というものは現実には存在しない。
自然に存在する直線はフラクタクルだからである。
つまり直線は人間の頭の中にしかない。

詳しくは分からないが、
アフリカ大陸の直線は、
かつて植民地であったといった歴史や、
隣国との政治的な緊張関係を語っているかのようである。
北アメリカ大陸の直線は、
開拓者がつくった土地であることを示しているように思う。
つまりそれ迄のその土地における過去の歴史がない分、
直線による支配がより顕著に表われているのであろう。

世界地図上の直線は、
案外多くのことを物語っているようである。