トルコ東部にて23日、
M(マグニチュード)7.2の地震があった。
震源地はワン近くらしい。
ワンにはトルコ最大の湖であるワン湖があり、
そのワン湖に浮かぶ島には小さくてかわいらしいアルメニア教会が、
美しい風景の中に1000年以上の時を越えてポツンとある。
ちょうど13年ほど前の朝、
ワン湖のほとりでその島に行くボートを探していた。
運悪くその日はボートの運休日であることが分かり困っていると、
エフェス・ビール(トルコ製のビール)のビンを片手におじさんが、
こっちに来い、と手招きをしてくる。
誘われるままついて行くと、
そこには4~5人ほどの老若男女の集団があった。
一緒にボートに乗せてくれるらしい。
ボートの上でおじさんは、
”私たちは遺跡の調査をしている”
とビールを飲み笑いながら話してくれた。
島に着き、
いつ帰るのかを聞くと、
私たちはここで仕事があるから時間は気にせず見て来い、
と言われた。
ゆっくり時間をかけて私が教会をひと通り見てスケッチをする間も、
さっきの人たちはなぜか教会には一切来ない。
この島にはこの教会しかないのに。
ボートを留めたところに戻ってみると、
おじさんたちは湖のほとりで椅子に座りただただビールを飲んでおり、
私も誘われるがままにビールを飲み食べた。
その後夕方にボートで帰るまで、
その人たちは一度も教会を見に行くことなく飲んだ。
どうも、
遺跡の調査をしている、というのは嘘だったらしい。
多分他の島にピクニックに行く予定だったのだろう。
仕事道具が入っていると思っていた大きなカバンには、
大量のビールとおつまみしか入っていなかった。
その後安宿まで車で送ってくれて、
最後にトルコ式の挨拶をしてお別れ。
旅行中多くの人たちの親切を頂いたが、
中でもあのおじさんたちのさりげなさは、
特に印象に残っている。
あのおじさんたちは無事なのだろうかが、
気になる。