空隙の家|Crevice House|都心のRC造狭小住宅

空隙の家|Crevice House| 都心のRC造狭小住宅
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空隙の家|Crevice House| 都心のRC造狭小住宅
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都心のRC造狭小住宅

空隙の家|Crevice House| 都心のRC造狭小住宅

都心の住宅密集地にある、あらたに分筆されて生じた約13坪の変形敷地。
長い間土地を探していたお施主さんは、
”このまちが気に入ったから”という理由でこの土地を選んだ。
閉じた家の中だけで暮らすのではなく、
近くの図書館がお子さんの勉強部屋で、喫茶店が仕事の打ち合わせスペースで・・・、
そういった”まち”に暮らすライフスタイルを望んでいた。
その他の要望は、
自然豊かで、
家族で本を読んだり絵を描いたり、
ものをつくったりピアノを弾いたりできる、
工房のような居間が中心にあるRC造の家、だった。
竣工後も長い時間をかけて、
住まい手家族ならではの生活を創造していくための、
下地になるような家になれば、と考えた。

敷地を見てまず注目したのは北側隣家間にある先細の隙間だった。
土地が細分化されると同時に隙間空間も毛細血管のように不定形に増殖する。
意識的に設計された建物正面や内部とは裏腹に、
一敷地一建物という日本の建築慣習の副産物として生じる隙間空間には、
メーターや配管、空調機が無意識のまま乱雑に露出し、放置されている。
基本設計時は西側隣地はまだ更地だったが、
ここにも隙間空間が生じることが概要書から確認できた。

 

狭小住宅、工房のある家、敷地写真

 

不定形な敷地の平面形状そのままに、
中古の型枠を再利用して立ち上げられた荒々しいコンクリートの建物中央部を、
延長された北側隣家間と西側隣家間の隙間が直撃し空隙を穿って交叉する。
この空隙から周囲環境を住宅内部へと引き込み、
日常生活の容れ物である住宅内部を非日常が光とともに横断する。
都心の小さな住宅ゆえに、
そんな荒々しくて暴力的でさえある構成原理が、
かえって力強さや大らかさを与えてくれるように思えた。

斜線制限が東側一辺を除いた全方位からかかるゆえ、
地上にそのまま建物を載せると3階の床面積はほとんど確保できない。
近隣のボーリング調査データから、
地盤面から1m程下に関東ロームのしっかりした地盤があることが分かった。
単管パイプによる簡易山留めでギリギリ可能な深さ、
かつ、自然排水がギリギリ可能な深さまで掘って1Fを半地下にすることで、
何とか最小限の階高の3階建てが可能になり、
中央部に大きな吹抜を設けながらも容積率のほぼ上限までの床面積を確保できたと同時に、
地盤改良や杭工事も不要になった。
低い階高ゆえ室内に梁型は出せないので、
床と屋根はすべてキャンチスラブ(片持ち床)にすることで、
室内は梁型も柱もない開放的な空間となっている。
空隙を中心とした重層的な竪穴式住居である。

空隙の空間はすべてトップライトで覆われた半屋外的空間とし、
エキスパンドメタルによる動線をすべてここに集中させた。
周囲環境を引き込む空隙は建物内を分断すると同時に繋ぐ空間でもある。
西側隣家間の隙間も建物内に引込み、
2階のブリッジの位置と方向を重ね合わせた。
トップライトからの光はエキスパンドメタルの網目で砕かれて、
空隙を横断する人影と共に、
半地下の1Fにまで降り注ぐ。

この住宅では”仕上げ”というものがことごとく剥がされた。
鉄骨階段も玄関の鉄扉も錆止め塗装のまま。
ラワン材による本棚のオイル拭きもコンクリート床の防塵塗装も施主施工。
躯体のコンクリートと鉄とガラス、そしてアルミやステンレス。
還元化された裸形の空間である。

日常と非日常が交叉するこの空隙が、
自分たちならではの家づくりを続けながら、
家の外壁を越えて、
敷地境界線も越えて、
”まち”に暮らすライフスタイルの拠点となる住宅の、
核なる空間になればと考えた。

 

 

 

※参考リンク

”空隙の家|Crevice House|都心のRC造狭小住宅” の設計の考え方や設計過程につきましては、

・建築家思考の狭小住宅 07|東京の”まち”に暮らす3階建て狭小住宅の設計実例(変形地)

で紹介していますので、

ご興味のある方は是非!

 

※参考リンク

狭小住宅にご興味のある方は是非!

・建築家思考の狭小住宅

 

※参考リンク

”空隙の家”の吹き抜け、トップライトの意味についてご興味のある方は是非!

・建築家思考の住宅コンセプト(吹き抜け、トップライト)

 


DATA

所在地:東京都豊島区

敷地面積:43.66㎡

建築面積:29.23㎡

(建蔽率:66.95%<70%(=60+10):準防火地域における耐火建築物による+10%緩和)

述床面積:70.75㎡(容積率:159.76%<160%)

構造:RC造

規模:地上3階

建築施工:本間建設

竣工年:2023年8月竣工


建築家・佐藤森/PLUSZERO ARCHITECTは狭小住宅・注文住宅・デザイン住宅の設計を得意とする東京・渋谷の設計事務所。東京・神奈川・埼玉・千葉などでこだわりの家を建てるなら是非!